理事長就任挨拶 - 一般社団法人在日コリアン・マイノリティー人権研究センター

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理事長就任挨拶

【投稿日】2023年6月20日(火)

 アンニョンハシムニカ。このたび理事長に選出されました呉時宗です。初代理事長、鄭早苗先生、2代目理事長、仲尾宏先生の偉大な業績の跡を継いで3代目理事長に就任することは恐れの多いことです。鄭早苗先生と仲尾宏先生には長年にわたって多くの事を学びました。先生方の路線を引き継いでまいりたいと思います。就任にあたりKMJとしては以下について実現できるよう力を入れていきたいと思います。

 1948年12月10に採択された「世界人権宣言」は今年で75周年になります。「世界人権宣言」は1948年12月10日に国連第2回総会で採択されました。この宣言は前文と30条から成り立っています。「世界人権宣言」の中核にある最も重要なメッセージは、第1条の「人は皆、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利について、平等である」です。自由と平等、基本的人権ですね。この平等であるということは差別を受けない、差別をしてはならないということなんです。

 世界の先進諸国の中で「差別禁止法」がないのは日本だけです。日本は国連から差別禁止法を制定しなさいと何度も勧告を受けていますが、いまだに制定されていません。ヘイトスピーチやヘイトクライムが横行していても取締まる法律がないのです。差別を無くすためにはまず、①「包括的差別禁止法」を制定することです。あらゆる差別を低減することができます。次に②政府にたいして勧告や意見表明ができる「国内人権機関」を創設することです。この機関は政府から独立していなければなりません。いわゆる監視機関です。最後に個人が受けた人権侵害を個人が直接国連に訴えることができる「個人通報法制度」の批准もしなければなりません。この3つができれば、差別は法の支配を受けることになります。これら1つも実現していないのは先進諸国G7の中で日本だけです。日本が人権後進国と言われる所以です。これらの実現に尽力したいと思います。

 次に日本の人権課題はたくさんありますがその中で最大の人権差別は、在日コリアンに参政権がないということです。奴隷は働いても働いても権利がありません。在日コリアンは税金を払っても参政権がありません。在日コリアンは未だに日本では隷属状態にあることを皆さん分かってください。次世代のためにもこのような隷属状況は一刻も早く解消しなければなりません。日本の現状は民主主義の原則から外れています。住民である在日コリアンを除外している日本は民主主義社会とは言えません。今後、日本社会は外国籍者が増加していきます。50年後は日本の人口の1割が外国人になるといわれています。ますます多様な人権問題が多発するでしょう。KMJは鄭早苗前理事長、仲尾宏前理事長の指導の下、在日コリアンの人権問題をベースに、様々な形態の民族差別を解消し、啓発活動を続けてきました。その路線を引き継ぎ、上述の実現に向けて、多様な人権問題の向上に努めてまいります。会員皆様方のご支援・ご協力を引きつづきよろしくお願いします。

【呉時宗プロフィール】
 1940年(昭和15年) 大阪市生まれ 82才 在日2世。東海大学工学部卒業。堺市東区居住。
 経歴:「人権教育のための国連10年」堺市行動計   画策定委員(~2004)
    韓国民団堺支部 団長
    韓国民団大阪本部 副団長
    韓国民団中央本部 人権擁護委員会委員
 現在:NPO法人在日コリアン高齢者支援センターサンボラム理事
    在日本大韓民国民団大阪府堺支部在日総合推進委員長
    大阪府堺市人権施策推進審議会委員
 信条:日本に住んでいるすべての子供たちが将来、差別なく平和で安心して暮らせる世の中にしたい。そのために大阪府下の学校教育で子どもたち   
    が、国際感覚を持ち、隣人を愛する心をはぐくむためのあらゆる取り組みを支援したい。