【投稿日】2024年9月5日(木)
1923年9月1日、首都圏を襲った巨大地震により約10万5千人の方々がお亡くなりになりました。まずは、犠牲になられたすべての方々に深く哀悼の意を表します。そして、震災直後から意図的に流布された流言・蜚語によって、何の罪のない朝鮮人や中国人、日本人までもが警察・軍隊や住民により組織された「自警団」などによって虐殺されました。その犠牲者数は、朝鮮人約6千人、中国人約800人にもおよぶと言われています。今から101年前にこの日本社会でジェノサイドが行われたことを、まずはしっかりと記憶に留め、継承していきたいと思います。
さて昨年は、100年という節目の年であったことから、追悼や真相究明にとりくむ市民団体の方々によって集会や国会前キャンドルデモ、追悼式典などがこれまで以上に力を入れて執り行われました。今年も昨年と同じく力のこもった企画が執り行われました。その成果もあってか、今年、埼玉県で行われた追悼集会に埼玉県の大野元裕知事がはじめて追悼文を送付しました。また千葉県の熊谷俊人知事はじめ、船橋、八千代、習志野、市川、鎌ケ谷の5市長がはじめて追悼集会に弔電を送りました。荒川河川敷で虐殺された朝鮮人たちの慰霊と真相究明に取り組む「ほうせんか」では、毎年行っている追悼事業を若い世代が中心となって引き継ぎ、実行されました。横浜の市民団体は、当時の官憲が虐殺の詳細を記した資料を発見し、公表しました。これらは、市民団体の皆さまが、ねばり強く活動をされてきた大きな成果です。深く敬意を表するとともに、KMJもできるかぎりの支援を継続していきたいと思います。
一方、残念ながら、このジェノサイドを否定し、なかったことにしたい人たちの行為も昨年と変わることはありませんでした。3選を果たした小池百合子東京都知事は、今年も追悼式典に追悼文を送りませんでした。記者会見で小池知事は「それぞれが研究されている」とし「毎年、都の慰霊堂(横網町公園内)で開かれる大法要で、震災による極度の混乱下での事情で犠牲になった方を含めて全ての方々に慰霊する気持ちを表している」と、これまでの主張を繰り返しました。
日本政府も、さまざまな資料が示されているにもかかわらず、相変わらず「事実関係を把握する記録は見当たらない」の一点張りです。
さらに東京での追悼行事を妨害し続けてきた排外主義団体「そよ風」は、今年の追悼式をねらって慰霊碑の爆破予告をおこない、当日の慰霊式典でヘイトをばらまきました。
日本政府や東京都が明確に虐殺の事実を認めないかぎりこのようなヘイト活動はなくなることはなく、さらに助長させ、非常時にジェノサイドがくり返される危機的な状況下に、現在あるといえます。
KMJは101年を迎えるにあたって、日本社会が虐殺の歴史と真摯に向き合い、教訓化し、そして、新たなジェノサイドを発生させないために以下について求めていきます。
1.日本政府に対して、関東大震災時の朝鮮人・中国人虐殺について真相究明のための調査を行い、謝罪をすることを求めます。
2.小池百合子東京都知事に対して、歴代の都知事が行ってきた朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文送付を再開するよう求めます。
3.関連する自治体にも調査するよう求めます。
4.日本政府に対して、新たなジェノサイドを生み出さないために、「外国人人権法」(仮)および「包括的差別禁止法」(仮)を策定するよう求めます。