【投稿日】2013年1月14日(月)
新しい年をむかえました。
例年なら修辞上のこととはいえ、「おめでとう」と言うことにあまり躊躇しないのですが、今年ばかりは私の心にひっかかるものがあります。
それは会員の皆さんは、すぐにもお気づきのことと思いますが、昨年秋以来の日本の政治情勢です。
衆議院議員の総選挙の結果は約25%程度の支持率しかなくても、議会の3分の2の議席が獲得できる選挙制度の問題があるとはいえ、やはり有権者の側にも「勝馬志向」というか、あるいは民主党政権への愛想づかしというか、また「維新派」の言説にやすやすと乗せられたか、いずれにしろ、日本社会の将来展望を見いだせない中での有権者の戸惑いの結果が生んだ数字でしょう。
私が気になるのはまず第一に安倍総理の「改憲」指向と「国防軍」への自衛隊改称意欲です。
おそらく今秋の参議院選挙の結果によって、まず憲法96条の改憲、ついで9条改憲へと向かうでしょう。
いまも自衛隊の教育はあの田母神氏の発言にみられるような、東アジア諸国とその人々に対する極端な偏見にみちた言説と差別的な意識を注入する隊内教育が行われているようです。
この選挙期間中、「維新」の石原代表と橋下代表代理は、竹島(独島)や尖閣諸島(魚釣島など)問題をはじめとする一連の問題で、論証ぬきで一方的に中国・韓国に「なめられている」という俗耳に入りやすい発言を全国各地でまきちらしました。
その結果が投票結果の一部に現れた、と言ってよいでしょう。
このような安倍+石原・橋下路線が今後、日本社会に定着したら、日本の対外関係はどうなるのでしょうか。
「河野談話」や「村山談話」を否定したらどのような結果を次の世代におよぼすのでしょうか。まことに心淋しい限りです。
とりわけ日本社会に定住している在日コリアンやその他の外国籍市民の人権はないがしろにされることは目に見えています。
このような状況が生まれるのは戦後日本社会が一部の政治家だけでなく、一般市民もあの侵略の原因と東アジア諸国に及ぼした悲劇についてろくに責任を感じていなかったからでしょう。今、そのツケが回ってきていると感じざるを得ません。
しかしまだ希望はあります。
昨年、日本各地で巻き起こった「脱原発」の大デモは、あのような行動こそが真の民主主義の存在のあかしであることを証明しました。
見事にウォール街の反「1対99」の運動、中東の独裁政権打倒の運動に通ずるものでした。
また裁判闘争でも水平社博物館差別事件、京都朝鮮学校襲撃事件の刑事判決で醜い加害者の有罪が確定しました。
徳島教組襲撃事件でも県検察審査会では「不起訴不当」の審決を出しています。
今からでも遅くありません。
「人の命の大切さ」「誰もが人らしく生きられる社会」こそ、日本の社会と市民がめざすべき方向であることを、それぞれが周りの人々と語り合いましょう。
それこそがあのような身勝手な短絡指向の政治家や、政治家とはいえぬ「ならずもの発言」を封殺していく唯一の道であると思います。