【投稿日】2013年11月6日(水)
10月7日、京都地裁で京都第一朝鮮学校に対する「在特会」らメンバーによる威嚇的、侮辱的、暴力的な行動に対して民事裁判として損害賠償を求めた事件の判決がなされた。結果は彼らの行った行為は、明確に日本も批准している国連の人種差別撤廃条約の禁止事項に該当する行為であると断じた。そしてそれらの行為の禁止を実効あらしめるために総額約1226万円の損害賠償命令(原告の損害賠償請求額は約3000万円)と、新たに移転した同校の周辺200メートル以内での同様な行為の禁止を命じた。また違反行為には襲撃の際に彼らが撮影した映像をインターネット上で公開したことも含まれる。この裁判を原告(朝鮮人学校側)の「支える会」の共同代表の一人を勤めてきた私としては、一応の安堵感を得ると同時に、ここまでの長い時間をかけて闘わないと、あのような非道な行為を罰することができないのか、という一種の虚しい思いがよぎる。つまり近頃の日本社会は本件に限らず、東京、大阪などでの「ヘイトスピーチ」「排外主義デモ」が日常茶飯事になっている異常な社会である、ということを改めて認識しなければならぬ。「世界人権宣言」にはじまる国連の一連の人権関連条約は第二次世界大戦時の日独伊ファシズム国家の侵した他民族の民衆に対する暴虐行為の糾弾の結果として成立した。その原点を侵すかのような風景が現在の日本各地で繰り返されているのである。
そもそも「ヘイトスピーチ」とは単なる個人などへの憎悪表現であるのではなく、差別煽動行為(incitement to discrimination)である。人種差別禁止条約においては原文はそのように用いられている。そのような行為を許してきた日本社会と日本人の罪深さに気づかねばならないだろう。なお、「在特会」側は本稿執筆時に「被告側には一部の正当な行為があった」として大阪高裁に控訴した、という報道が入った。また11月4日には彼らと見解を同じくする連中が、京都で地裁判決抗議の集会とデモをやるという。まだまだ私たちの側の闘いは続く。気をゆるめてはならない。(仲尾宏理事長)