「ヘイト・スピーチについてのNGOレポート」をよむ - 一般社団法人在日コリアン・マイノリティー人権研究センター

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「ヘイト・スピーチについてのNGOレポート」をよむ

【投稿日】2014年8月5日(火)

ジュネーブで開催された国連自由権規約委員会(3面ニュースで紹介)で、「人種差別撤廃NGOネットワーク」が提出した『ヘイト・スピーチについてのNGOレポート』の一部を紹介する。

 日本政府への勧告案

 ①マイノリティーにたいする差別の実態調査および抑止策の構築②差別禁止法の制定③具体的な民族差別撤廃教育の計画・実行などを求めている。法整備と教育は車輪の両軸として機能させなければならないということだ。教育にかんしては、学校教育だけでなく公的機関、企業、報道機関、などにおいて実施されるべきであるとしている。

 ヘイト・スピーチの背景と現状

 レイシスト団体による排外主義デモや差別街宣が過激化している現状を事例を挙げて報告。「のりこえねっと」がインターネット上に記録されたレイシズム関係のデモと街宣数を調査したところ、2013年の1年間で360件以上にのぼることが報告されている。

  公人による歴史修正主義発言

 昨今、公人による日本軍「慰安婦」犠牲者にたいする暴言が頻発しているとして、橋下徹大阪市長が「慰安婦制度は必要だった」と述べたり、西村眞吾衆議院議員が「【慰安婦】は性奴隷ではなく売春婦であり、韓国人売春婦はまだ日本にうようよいる」といった差別発言があったことが報告されている。

 マスメディアにおける差別扇動

 夕刊紙や週刊誌の一部では毎日のように嫌韓・嫌中を扇動する見出しや記事が掲載されていることや、2013年以降、韓国・朝鮮バッシング本が年間20冊以上出版され、何冊かはベストセラーになっていることなどが具体的に報告されている。

 街中の差別表示

 Jリーグの浦和レッズサポーターによる「Japanese Only」問題から、いまだにレストラン、ホテル、大衆浴場などの入口に「日本人のみ」とはっきり示す掲示板が掲げられている店が存在することや、入居差別が横行していることなどが報告されている。

 日本政府はいつまで国連を無視するのか

 以上、NGOレポートが指摘する差別の状況や日本政府への勧告案は非常に的確である。しかし日本政府は「処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、人種差別思想の流布や扇動が行われている状況にあるとは考えていない」と一点張りである。今回の審査で、国連からは一段と厳しい勧告が日本政府に出されるようである。政府はいつまで国連を無視し続けるのか。昨今の日本は、戦前、国際連盟(当時)を脱退した状況と重なってならない。二度と同じ過ちを繰り返さないよう、歓心を払っていかねばならない。(K)