【投稿日】2015年3月4日(水)
「移民としての法的身分は厳重に守るように制度を作らねばならない。条件を納得の上で出稼ぎに来た人たちに、その契約を守らせることは、何ら非人道的なことではないのである」そして「居住区だけは、白人、アジア人、黒人と分けて住む方がいい」「人間は事業も建築も研究も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方がいい」産経新聞(2月11日)曾野綾子氏コラム。移民は必要だとする曾野氏。
「韓国の人は自分の責任は認めないで他人の責任にするのか?」「日本人はきちんと謝る。韓国人もそこを見習わないと、いつまでたっても日本に追いつけない」フジテレビ情報番組「とくダネ!」(2月12日)での司会の小倉智昭氏の発言。大韓航空前副社長の趙顕娥被告に反省の色が見えないという話題の中で、持論をまくし立てた。
「いまさら教育しても直りません。こういう国だから孔子は論語っていうものを書いて礼儀を大事にしようって言ったんだけど、いまだかつて何千年直ったことがない。中国にないのは、マナーと民主主義です。永遠にないと思う、ぼくは」日本テレビ情報番組「スッキリ!!」(2月23日)での勝谷誠彦氏の発言。旧暦の正月である春節を迎えて日本に押し寄せている中国人観光客の、銀座での買い物事情と、そのマナーの悪さを紹介するコーナーで持論をまくし立てた。
曾野氏はアパルトヘイトを推奨しているのか、との抗議を受け「差別ではない、区別だ」と反論しているが、差別主義者の常套句。ようは労働移民は受け入れるが、市民権を与えずに、居住区を隔離しろ、と言っているのである。どう読んでも人種隔離政策=アパルトヘイトを推奨しているようにしかみえない。小倉氏や勝谷氏も持論を展開しただけで、差別発言をしたなど夢にも思ってもいないだろう。
3者に共通しているのは、構造的にある日本社会の外国人嫌悪感情を煽り「それに比べて日本はすばらしい」という安易な優越感を満たすことでしか自尊感情を得られない現代日本の病魔を体現しているということだ。それが無自覚な差別意識を生み出し、日本社会に蔓延しているのである。(高敬一)