【投稿日】2015年4月6日(月)
サクラがほころぶ良い季節になりましたね。お変わりなくおすごしのことと思います。
さて、今年1月におこった、あの「イスラム国」による人質事件について感じたことを少し述べさせてもらいます。
どこの国であれ、どんな理由であれ、ああいう形で若い生命が失われていくことは悲しむべきことです。しかし、今回の事件は確信犯的にアメリカ主導の「反IS有志連合」つまり「十字軍連合」の仲間入りをするというアベのメッセージの当然の帰結だと思います。そのことに関して、日本のマスメディアは「死んだ人は皆んな善い人・・・」的な連日の報道です。これで世論はまとまるかも知れませんね。そうなれば、安倍政権にとっては願ってもないチャンス到来といったところでしょうか。
アベの「テロの脅しには屈しない!」「罪を償わせる!」「犯人を追いつめ、法の裁きにかける!」などなどの強行発言を聞いていると、今から80年ほど前の「満蒙政策」をめぐって、米・英や中国軍閥に対して、同じ山口県出身の日独伊三国同盟の立役者・松岡洋(よう)右(すけ)がブチ上げた「弱腰外交は国策を誤まらせる!」を想起させます。これで、今回の事件を有効に活かしたアベの「70年談話」なるものが作文されることになるのでしょうね。まったくたまりません。
思うに、現在のメディアに必要なのは、犠牲になった二人の若者、特に後藤健二氏の美談的エピソードだけを報道するのではなく、彼等はナゼ生命を賭してまで危険地帯に赴くのか?ナゼ大手メディアの報道マンたちは犠牲にならないのか?かれらが得た報道内容や映像はどのくらいの報酬で、どこのメディアがどう使っているのか?さらにまた、湯川遙菜氏は、ナゼ民間軍事会社を立ち上げ、ナゼあの田母神俊雄と親交があるのか?などなど、もっと知らせる必要があると思います。何故かというと「邦人を救え!」だの、「邦人保護!」だの大義名分のもとに、焦眉の問題である「集団的自衛権」や「自衛隊法」などをはじめ、日本国憲法が安倍政権の恣意のままに、一方向に向かう危険性を感じるからです。
それにしても、おクニのやることは昔も今も変わらんナァ!とつくづく思います。やはり、この道はいつか来た道なのでしょうか?そうならないためにも、またそうさせないためにも何を為すべきか、今こそ正念場だと思います。お会いしましょう。そして、いろいろ語り合いたく念じております。
時節柄、花冷えなどくれぐれもお気をつけ下さい。 2015年弥生3月吉日
呉 徳 洙(映画監督)
(呉徳洙監督が藤原史朗理事に宛てたお手紙を呉監督の許可を得て掲載しました。KMJ通信81号掲載)