【投稿日】2018年4月11日(水)
在日コリアンのAさんが、昨年9月3日、「Kホテル」にチェックインしようとしたところ、フロントの男性職員から「在留カード」の提示を求められ、それに抵抗すると宿泊を拒否されるという民族差別を受けた。後日、Aさんはホテル支配人宛に抗議文を送り、謝罪などを求めたが、反省も謝罪もなかったことから、弁護士を通じて「損害賠償調停」を今年2月28日に東京簡易裁判所民事部に申し立て、それでも真摯な対応がなければ裁判で争う姿勢を示している。
在日外国人にたいして、「特別永住者証明書」や「在留カード」の提示を求める権限をもつ者は「入管法等改正法」により「入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官その他法務省令で定める国又は地方公共団体の職員」と定められており、民間人が求めていいものではなく、求められても提示する義務はない。本人確認であれば本人の意思による証明書の提示が原則であると、「本人確認法」で示されている。ましてや、ホテルのチェックイン時において、在日外国人にのみ本人確認をもとめることは、民族差別であり、さらに宿泊まで拒否したとなると相当悪質である。
Aさんの報告によると、当日、以下のようなやりとりがあった。
在留カードの提示を求められて
A「提示だけだね?まさかコピーをとるのか?」
職員「はい、コピーをとらせていただいて所轄の警察署に報告いたします。」
A「僕はこのホテルの常客だ。なぜそういう失礼なことをするのだ。」
職員「当ホテルでは、そういうシステムでございます。」
A「いつからそういうシステムを導入したんだ?」
職員「警察署からの指導にしたがって、パスポートをお持ちでない外国人のお客様には、在留カードの提出をお願いしています。そうしていただかないと、宿泊には応じ
かねます。」
A「どこの警察署だ?」
職員「お答えかねます。」
Aさんは宿泊をあきらめ、その日は別のホテルに宿泊。後日、同ホテルの支配人宛てに抗議文を送り、男性職員が言った「システム」の説明と謝罪を求めた。送られてきた回答は①当該宿泊客が外国人(=非日本人)かどうかは、名前で判断する②海外からの宿泊客にはパスポート、日本に住所を有する外国人には在留カードの提示を徹底せよ、と所轄のK警察署から指導を受けている、といった内容であった。Aさんは①については、偏見に基づいた判断であり、外国名をもつ日本国籍者にたいして、在留カードの提示を求めるのかと疑問を呈し、②については、弁護士を通じて調査したところ、虚偽であったことがわかり、本来の所轄である「M警察署」は「そのような指導をしたことがない」、またK警察署は「所轄外なので回答できない」と答えていると明らかにしている。そしてホテルを運営する「P株式会社」の対応も不誠実であったことから、「損害賠償調停」さらには「裁判」で闘うことを決心したという。裁判にあたっては「支援する会」の発足が準備されている。
このようなホテルの無知・偏見が差別を温存し、在日コリアンが本名を使用できない状況をつくっている、ということを理解させなければならない。KMJはホテルの民族差別行為に抗議し、Aさんの裁判を支援、ともに闘っていきたいと思う。